俺と、悪いことしちゃおっか?

♯5



あれから、須藤先輩が私に会いに来ることはなかった。


私があれだけ先輩を拒否したんだから、当然だろう。


これで本当に、須藤先輩の目覚まし時計としての役目も終わったんだ。


そう思うと、私と先輩は保健室で会うだけの、ただそれだけの関係だったんだなと痛感する。


学年の違う先輩とは、学校内でも会うことはほとんどなく。

長かった梅雨が明け、7月8月と、ただただ時間だけが過ぎていった。


夏休みも終わって、気づけば9月初旬。


まだまだ残暑が厳しく、照りつけるような強い日差しが教室の窓から差し込む。


「ねぇねぇ、咲奈〜! あたしは、大縄跳びと玉入れに出るんだけど。咲奈は何に出るか決まった?」


今日のホームルームでは、2週間後に行われる体育祭の個人の種目決めが行われていた。


「えっと、私は……綱引きと障害物競走だよ」


私は、ガクッと肩を落とす。


ジャンケンで負けて、やりたくもない障害物競走に出ることになってしまった。


私、運動音痴で走るのも遅いのに。


大丈夫かな?


なんだか嫌な予感がする。


< 47 / 61 >

この作品をシェア

pagetop