竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~

24.竜人族の業と執着

「――――意外だったな」


 淡々と吐き出された言葉に、リアンの心が大きく乱れる。


「やはり、おまえがアイリスを――――」


 全身汗だくで、呼吸も困難な中、リアンは声を絞り出す。
 対する男は眉一つ動かすことなく、涼しげな表情でリアンのことを見つめている。

 二十年ぶりに訪れる己の生家。けれど、驚くほどに愛着はない。

 リアンの帰る場所は、アイリスの待つ家だけだ。
 それなのに、この男はリアンからアイリスを奪った。冷静でなんていられない。
 例えアイリスが無事であったとしても、許せる筈がなかった。


「何をそんなに憤る必要がある?」


 目の前の男――――リアンの父親はそう言って、嘲るように笑う。


「アイリスはどこだ?」


 通された場所はリアンの父親の書斎。
 部屋を見渡してもアイリスは見当たらず、屋敷の中には気配が感じられない。
 心臓がバクバクと早鐘を打つ。歯を喰いしばっていなければ、膝から崩れ落ちそうな心地だった。


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