竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「――――もしも、リアンの前世の記憶が見られると言ったら、君はどうする?」

「……え?」


 その瞬間、心臓がドクンと大きく跳ねる。そろそろと顔を上げると、ニコラスは真顔でわたしを見つめていた。


「僕たち麟族は前世、神に仕えた者が転生する種族だ。その影響かは分からないけど、この神殿内でなら、僕は他人の前世を覗くことが出来る。君はリアンの逆鱗をお守りとして持っているんだろう?」

「うん。持ってる」

「だったら、それを媒介にして、あいつの過去を覗くことができる。もちろん、君次第だけれど」


 ニコラスはそう言って口を噤んだ。心が大きく揺れ動く。

 もしも本当にきずな君が自殺したなら、確実にわたしのこころを抉るだろう。
 だけど、もしもきずな君の記憶を見ることで、旦那様が『死にたい』と思うことを阻止できるとしたら?


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