竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~

37.きずな君の記憶③【喧嘩とすれ違う想い】

 月日はあっという間に流れ、俺達は高校を卒業した。
 地元を離れ、俺達は二人そろって東京の大学に進学する。
 けれど、学校は別々だった。


「さすがにわたしの学力じゃ、きずな君と同じとこには行けないよ」


 逢璃がそう言うから、俺は自分の志望校を変えるつもりだった。二人で同じ大学に通うために、と。

 けれど、逢璃は物凄く怒った。怒って、しばらく口を利いてくれなくなった。
 これには物凄く困った。このまま別れると言われるんじゃないか。そう思うと不安で、胸が痛くて堪らなかった。


「ごめん、逢璃」


 何度も何度も、俺は謝った。けれど、逢璃は険しい表情を浮かべたまま、俺から目を背ける。
 正直言ってお手上げだった。けれど、逢璃を諦めることなんてできない。めげずに声をかけ続けたある日、ようやく逢璃は俺のことを見た。


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