竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~

11.行ってきます

 そうしてわたしは、初登校の日を迎えた。


「忘れ物はないか?」

「はい、大丈夫です」


 普通、転校初日は親とかが付いて来るものだけど、旦那様はお仕事なので、ロイが付き添ってくれることになっている。ほんの少しだけ心細い。けど、お家の前で互いに行ってらっしゃいをするのは、新婚チックで何だか嬉しい。


「これを」


 旦那様はそう言って、小さな布袋を手渡してくれた。少し厚手の綺麗な布で、巾着とか香り袋みたいな形をしている。


「何ですか、これ?」

「お守りだよ。肌身離さず持っていて」


 旦那様が微笑む。わたしは「ありがとうございます」って口にしてから、受け取ったお守りを首から下げた。
 ほんのりと爽やかなミントの香りがして、まるで旦那様に包まれているみたいな感覚を覚える。朝からとっても幸せな気分だ。


「そっかそっか。この世界にもお守りってあるんですね」


 少なくともわたしは、現世では神社にも教会にも行ったことがない。だから、この世界にも神様的なものが存在するのか、正直なところよく分からなかった。


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