竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~

18.今、会いに行きます

(来ちゃった……!)


 目の前に聳え立つ重厚な雰囲気の建物に、わたしはゴクリと唾を呑む。
 前世で言う世界遺産みたいな歴史と文化と人の手を結集しました!って感じの建物なんだけど、今も現役バリバリに使われている。旦那様の職場だ。


「すごいねぇ、ロイ。緊張するね」

「はい。僕もここに来るのは久しぶりなので、緊張してます」


 ロイは首に蝶ネクタイを結び、鼻息も荒く前を見据えている。
 本当はそんなに畏まることは無い。だってここは、魔族のために存在するお役所だもの。市民のために存在する場所なんだから、普段着で十分。だけど、この場所が醸し出す厳かな雰囲気のせいで、そういう訳にも行かないらしい。

 なんでわたし達がここにいるかっていうと、話は一昨日の晩に遡る。



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