きっときみに...

真紘side


 真紘side


 
 *



 僕は、今井 真紘 (いまい まひろ)。大学病院で小児科医をしている。


 毎日病気と闘う子どもたちと向き合っていて、実は家でも同じだったりする。



 
 僕の兄妹は、2歳年下の郁人と15歳年下の柚月。両親は、海外で医者をしているのでいまは一緒に住んでいない。




 妹の柚月は、喘息もちで幼い頃から身体が弱かった。弟の郁人も小児喘息もちだったけれど、柚月よりは軽くていまは症状は出ていない。



 
 柚月は、この春から高校生になった。けれど、春休みに喘息が悪化して入院し、入学式までに退院はしたけれど完全に体調を戻すことはできなかった。




 僕も郁人も、主治医で幼馴染の悠も入学式には行かせてあげたかった。けれど、入学式の当日は、37.5度台の熱を出し、天気も悪かったせいかベッドから身体を起こすのもつらそうで、参加できなかった。




 柚月は僕らに気を遣って、あんまり気にしてないと言っていたけれど、でも次の日も学校に行きたそうな様子だった。




 『 柚月、学校行きたいんだろなぁ』



 医局でぼんやりと僕が呟くと、隣の席の悠が、



 『まぁ、そうだろうねぇ。』




 と、いつものようにのんびり返した。悠はのんびりしているように見えるけれど、とても腕がよく、患者のことをよく考えていて信頼も厚い。




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