朝の光をあなたと感じて
「いい子だね」

彼はしゃがんで、ルルを両手で撫でた。ルルは気持ちよさそうに目を細める。

割と人懐っこい犬ではあるけれど、ものすごく気を許しているような……彼がかっこいいからなのかも。

ルルも女の子だから、飼い主と同じようにイケメンに弱い?

「お名前、聞いてもいいかな?」

「はい、凛花(りんか)です」

「リンカかー、かわいい名前をつけてもらったんだね」

「え……? あ!違います! 凛花は私の名前で、その犬の名前はルルです」

彼はルルを触るのを中断させて、私を見つめた。

恥ずかしい、とんでもない勘違いしてしまった。

顔が熱くなる私に向かって、彼は「アハハ」と声をあげた。

笑われてしまった……。

「いや、ごめん。聞き方が悪かったね。犬の名前はと、聞くべきだった。そうか、この子はルルで、君はリンカ。漢字でどう書くの? あ、リンカのほうね」

「凛々しい……に、花火の花です」

「へー、かわいい名前だね。付けてくれたのはご両親かな?」

「はい、母が考えたそうです」

今までにもかわいい名前だと言われたことはある。でも、この人から言われたのが二十年生きてきた中で一番嬉しい。
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