一期一会。−1−
私は、ほんの少しイラッとした表情で
反抗した。

『…言われなくても分かっています』

なんか、落ち込んでたのが馬鹿みたい。

死ぬ寸前になって初めて、生きる価値が
理解できるのかも。

…私、ちゃんと、氷室さんと桃李さんと
話そう。

“王蝶”の私は素直じゃないから、
ツンケンしちゃうけど。

多分、あの二人なら、私の言葉を
きちんと聞いてくれる。

「元気になったみてぇだな」

『えっ?』

さよなら、と別れる直前に、白鷺さんは
無表情のまま私にそう告げると、不思議そうな顔をしている私に、挨拶もなく
背を向けて去っていってしまった。

どうやら、あの人は私の気持ちを見抜いて
いたらしい。

『…さよなら』

届くはずもない挨拶を呟いた。

何か、変なの。

初めてあった人なのに、私のことを
よく見てるな。

気になったのも束の間で。

死にかけたところを救われた私は、
心機一転して、学校へと駆け出した。


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