#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化


ただでさえ国内ライブにアジア圏を中心とした海外のライブにメディア出演、CMに雑誌やモデル撮影もあるcoc9tailの日々は忙しない。


彼女たちが解散する前にタッグを組みたがる企業は後を絶たず、coc9tailとコラボするだけで即完売するとなれば向こうもうちの事務所も必死だ。


その矛先が全てcoc9tailのメンバーに降り掛かっている。特にセンターで1番人気を誇る息吹の負担など美聖の想像を絶するだろう。



「……眠い」



息吹は外着のまま、リビングのソファーでcoc9tailのライブを観る美聖の元に来ると隣に座る。いつもは帰宅後すぐにお風呂に入り、全てのスキンケアを終えてリビングに来るのに、だ。


以前、息吹がメイクは好きじゃないとぼやいていたのを美聖は思い出す。


隣で今にも寝そうな息吹にそっと声をかける。




「お風呂沸いてるよ。入れそう?」

「今入ったらそのまま溺死しちゃいそう」

「それはだめだ!!!」

「私より必死じゃん……」




ライブの為に身体を絞っているという息吹はただでさえ細いのに今は美聖が掴んだだけで折れてしまいそうなほどだ。


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