#推しが幸せならOKです@10/15富士見L文庫から書籍化




代表は深い溜息を零すとテーブルの上に両肘を置き、互いの指先をクロスさせる。




「基本的に君たちのプライベートにまでは口出しはしない。ただ、事務所に報告できるような関係でないのに、先に記事を抜かれるというのは、腑抜けているとしか思えない」



厳しい代表の言葉に、美聖はさらに深く頭を下げる。その隣で息吹も静かに、美聖と同じ低さまで頭を下げる。




「ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません」



息吹の声に、美聖の胸がきつく締めあげられる。彼女に頭を下げさせるような自分の行動が、情けない。


虎視眈々と記事を狙う記者たちにほんのわずかな隙を見せてしまった。たった一度の気の緩みが、今まで磨き上げてきた息吹の輝きに泥を塗った。



ふたりの後ろで同じように頭を下げる片平と木村にも、美聖の息が苦しくなる。口利きをしてくれた周音さんにも、coc9tailのメンバーにも。


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