BLACKDIAMOND

story,1

【絵馬ぁ、この前買った白いワンピがすっごい可愛くてさぁ〜…】

無邪気に話かけてくる彼女は【瀬名詩亜良】。
僕達は所謂幼馴染みというやつだ。

幼稚園、小学校、中学校、高校と全ての時間を一緒に過ごしてきた。
いや、高校には今年入学したばかりだ。

詩亜良は昔から男に人気があった。
普段はクールな彼女だが、僕の前でだけは時折仔猫のような人懐っこい笑顔で笑いかけてくる。

女子からは、幾度か嫌がらせやいじめを受けていたようだが、彼女はそれが何だと言わんばかりに耐えていたようだった。

勿論僕に助けを求めてきたり、弱音を吐くことは一度も無かった。

今年高校生に入学した僕達は、いつもと変わることなく一緒に登下校をしている。

彼女は、腰まである金色の綺麗な長い髪の毛をなびかせ、短いスカートからほっそりとした長い脚を出し、セーラー服もとても良く似合っていた。
長い睫毛にピンク色のリップもとても妖艶に見えた。小さな顔にぱっちりとした大きな二重の瞳。
名前も変わっているから、高校に入学すると既に学校の有名人になっていた。

[ 東条、お前瀬名詩亜良と付き合ってんの?]
クラスメイト達に何回聞かれたかわからない。
[ ただの幼馴染みだよ]
実際にそうなのだ。

僕は一度も彼女に対して恋愛感情というものを抱いたことは無かったし、これからも無いと思っている。きっと彼女もそうだ。
幼い頃からずっと近い所にいたから、お互い居心地が良いだけなのだ。

クラスは別になった。
噂によると、彼女は登校しても、殆ど誰とも話すことは無いらしい。必要最低限のこと以外は。
特別に仲の良い女友達がいる様子もない。というより、彼女はそういうものを昔から嫌っている。
[ 面倒くさいじゃん]
これが彼女の口癖だった。
僕は彼女のそんな性格を特に注意をしたりは一切しなかった。
だから余計に皆の目には、僕達の関係が不思議なモノに見えるらしい。

そんな彼女だから、夏休みに入る前には既に根も葉もない様々な噂が広がっていた。
[瀬名は金を払えば誰でもやらせてくれるらしい ][ 瀬名の締まりはやばいらしい][いつもはクールな顔をしているがベッドの上では豹変するらしい ]
如何にも思春期の高校生らしい馬鹿げた噂だった。そしてその噂は更に過激になり、独り歩きしてゆく。
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