大好きな先生と、月明かりが差し込む部屋で過ごした夜
4. 月明かりが差し込む部屋で先生と


 何も言わずに、先生は玄関の扉を開けて私を向かい入れてくれた。


「おじゃまします……」


 足を踏み入れた私の全身をジロジロと見回す先生。


 高校の制服姿で顔は泣き腫らし、目は充血してる。

 荷物が詰め込まれたバックパックと、学校で使う教材道具を手に持っている。


 一目でただ事ではないと察知した先生は、笑顔で私を家に入れてくれた。


 高級そうなスリッパを履き、廊下を歩く。

 すぐに明るくて広いリビングが目に入った。


 床にバッグを置き、長椅子に腰を下ろす。

 すると、心地よいコーヒーの香りがしてきた。


 初めて入ったリビングだけど、居心地の良い空間。

 カウンターキッチンの奥から姿を見せた先生の手には、私が愛用してる大きなマグカップ。

 先生は無言で、静かにテーブルの上に乗せてくれる。


「うわ~、ありがとうございます」


 ミルクと砂糖が入った暖かいカフェオレ。

 先生は私の好みを熟知しているので、甘さやミルクの量も最適。


 私はマグカップを両手で持って顔に近づける。

 暖かいカフェオレを少し口に含んだだけで、身も心も落ち着いた私。



 その様子を無言で見つめる先生。



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