俺はずっと片想いを続けるだけ**おまけ
おまけA 今日も王太子殿下は~クリストファー

前編

今日もどこかで俺の助けを、呼ぶ声がする。

ここは王宮。
あの声は王太子妃殿下のお部屋辺りか。


殿下のお見張り役は、俺の同僚イーサンの弟
ルイスだ。 
一応、俺とイーサンは王太子殿下の側近なので、殿下の見張り以外にも仕事があった。

俺達2人の精神的負担はキツくて、意外と俺よりも繊細なイーサンの限界は近いだろうと、推察された。
(特に外国からの来賓が来られた時の大変さは涙なしには語れない)


それを見かねた国王陛下直々に、
『殿下の見張り専用要員をスカウトするべし』のご指示が下されたのだった。

条件は殿下のお側に居ても不審に思われない家柄だが、一番はとにもかくにも、口が堅いことだ。


俺は言えなかった。
今までずっと王家の秘密だと信じていたけれど。
それが間違っていたなど、陛下に言える人間は
いない。


その秘密を皆が知っていること。
学園に通う子息令嬢が居る家門は皆が知っていること。


俺だって知らなかった。
愛する妻のグレイスに教えられるまで。


イーサンの弟ルイスと俺の妹は同い年で、
グレイスの2年先輩だが、
俺とイーサンに黙っていたのは、妹は絶対に
面白がってだが。
ルイスは多分、ぼんやりだからだ。


『運動では殿下が底辺』
『殿下の穴と呼ばれています』
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