怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
 束縒はまるで憲一朗さんがここにいないとわかっていたみたいに私だけを見つめ、ちょっと待てと左手で合図をしながら、テーブルの上にあったグラスの水を一気に飲み干した。
 

「取引先の人と会食中のはずでしょ?」

「抜けてきた」


 そんなことをして大丈夫なのだろうか。
 私にこの個室を譲ったせいで会食の場所も変更になったのだし、先方が気を悪くしていないか心配だ。


「冬璃、ネットのニュース見てないのか?」

「……え?」

「アイツは来ない」


 私は手にしていたスマホでポータルサイトのニュースの部分をチェックした。


「記者会見の動画もアップされてるぞ」

「……なにこれ」


 束縒の言葉が追い打ちをかける中、私はネット記事のタイトルに目を疑った。

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