怜悧なCEOの恋情が溢れて、愛に囲われる政略結婚【マカロン文庫溺甘シリーズ2023】
 手渡されたのは結婚祝いの品で、ラッピングを解いた中身はクリスタルワイングラスだった。
 有名ブランドのもので、ペアになっている。


「ありがとう。ふたりで使わせてもらうよ」

「末永く幸せにな」


 伶司くんが発した“末永く”という言葉を耳にし、思わず顔が引きつりそうになった。
 私たちはかりそめの夫婦だから、それはありえない。
 本当は、こんなに素敵な結婚祝いの品をもらう資格もないのだ。

 騙しているこの状況に心が痛んだ。
 だけどいつか洗いざらいすべて話せる日が来るだろう。
 そのときには、伶司くんにはしっかりと謝ろうと心に誓った。

 そして、束縒にも。
 私や父のために一番犠牲になっているのは、束縒だから。

 
< 62 / 123 >

この作品をシェア

pagetop