そして君のいない夏が来る

海の見える場所



「私のそばにいるにあたっていくつか条件があります!」

それは、ある海の見えるレストランで言われた。

俺はなんのことだろうと思い耳を傾ける。

なんのこと?と聞くと少し悲しそうな笑顔俺に向けて、海の方へ目を向けた。

「1,ずっと私のそばにいること」

「2,ずっと笑顔でいること」

「3,「またね。」を言わないこと」


その時、俺は適当に頷いて流して聞いていた。

お待たせしました〜

ここの店では魚介のペスカトーレが一番うまいと言うので二人でそれを頼んだ。

フォークでスパゲッティを少々とり、スプーンの上でくるくると巻き、口一杯に頬張る。

魚介の味とトマトの味が絶妙なハーモニーで実に美味かった。

彼女とたわいのない話をして、当たりがオレンジ色に染まり始めた。

海とオレンジ色の雲が彼女を際立たせていて情報が渋滞している。

思わず、スマホを取り出し、カメラを取り出し、構える。

俺は彼女の動きを1秒たりとも見逃さず、まぶたを閉じる時間ですら惜しむ。

ドキドキと音が周りにも聞こえそうなほど鼓動が早い。

俺はごちゃごちゃな感情と共にシャッターを押す。

彼女はというと、横髪をくるくるして頬を少し赤くして恥ずかしがっている。

彼女の笑顔はまるでひまわりのようだ。

写真を撮り、満足したので外へ出る。

海風が心地よい。

だんだん寒くもなってくるので今日はここで解散とした。

一人だけ駆け抜けした気分で少し嬉しかった。

食べる前の条件はなんだろうと少し気になりはしたが、今日あったことを思い出しながら家に帰った。

ガチャッ

「ただいまー」

シーン

俺の家は、母親一人で俺を育て上げた。

そのため、いつも俺が帰ると誰もいない。

母は俺を大学に行かせるため一生懸命働いている。

実家に住んで、せっせと働かなくて済むとは言ったが、それも母親のおかげなのだ。

家に帰り、毎日炊いてある2号のご飯をチャーハンにしたり、カレーを作りカレーと一緒に頬張ったりする。

最近では料理の腕も上がった気がする。

ご飯を静かなリビングで一人で食べ自分の部屋に行く。

大学の勉強はとても難しく、所々手が止まってしまう。

そういう時はYouTubeを見て気分転換させたりしている。

やがて9時ぐらいガチャッと言う音が聞こえた。

母親が帰ってきた音だ。

母親は帰ってきてすぐにお風呂を入れてくれる。

そのおかげで俺がお風呂に入りたい時入ることができる。

やがて、お風呂から陽気な曲が聞こえ、母親が先に入り、俺がその次入る。

今日あったことを忘れないよう、脳裏に貼り付けて眠りについた。



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