夜が明けたら君に幸せを。
Chapter3

決意する夜

夏休みが明けて“あの日”が確実に近づいてきた。



「もう少し夏休みあってもよかったよねー。あ、でもこれから修学旅行に文化祭ってイベント盛りだくさんだからない方がいいのかな?」


「…え?修学旅行?六月に行かなかったっけ?」



前でポッキーを食べながら旅行誌を広げている花音に、首を傾げる。



「えー?何言ってんの、明日香!六月に本当はあった修学旅行、うちのクラスだけインフルで学級閉鎖になって行けなかったから、九月に延期されたんじゃん!」


「あー…そういえばそうだっけ」



六月に修学旅行に行ったのは前の世界の記憶だった。


この世界では私たちのクラスだけ学級閉鎖になって延期になったことをすっかり忘れていた。


その時期は花音とまだ仲良くなっていなかったし、延期になろうがどうでもよかったけど、今なら延期になってよかったと思う。



「いつもの五人組で固まれたし、班行動楽しみだねー!バスの席も部屋も明日香と一緒だし、もうワクワクしちゃう!」


「ふふっ、そうだね」


「うわ、花音。旅行誌なんて買ったの?こんなものなくても、スマホとかで調べればいいのに」



後ろから花音の旅行誌を取り上げた朝陽に、どきんと心臓が飛び跳ねる。



「あ、ちょっとー!返してよ!スマホとかデジタルより、本誌の方が見てて楽しいじゃんー!」


「ふーん。明日香はどっか行きたいとこある?」


「…え!?わ、私は特に…みんなの行きたいところで」
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