ツンデレ王子とメンヘラ姫のペット契約

居酒屋

ひなこと佳音と和真は久々に三人で居酒屋に来ていた。

小日向さんのプロポーズからだいぶ経ったが、ひなこはなんとなく小日向さんと顔を合わせるのが恥ずかしくて、返信すらも返してなかった。

ひなこはもちろん小日向さんの気持ちは嬉しく、プロポーズもオッケーだが、付き合うこともなく、そんなにステップを飛ばして大丈夫だろうかとも思っていた。

和真は、小日向さんのことを考えてアホヅラをしているひなこを苦々しく思い、「ほらそれ飲めよ」と今日はひなこへの当たりが強かった。

それを見て佳音は、「大人気ないですねー、そんな奴にはお仕置きです」とボソッと言い、目の前の和真の足を思いっきりヒールで踏んだ。

和真は「痛ぇ」と言い、佳音を見ると、佳音は「大人になりましょ?」と笑顔で言われたのだった。

小日向は会社を出ると、いつもの商店街の道を通った。

ひなこから相変わらず連絡は無く、やはりいきなり過ぎたかと少し後悔した。

しかし、これが自分の本当の気持ちだから、振られたら振られたで受け入れようと思っていた。

ふと、近くの居酒屋を見ると、中が透けており、なんとそこには友人たちと飲むひなこの姿があった。

小日向は友人といるのに邪魔するのは悪いとは思ったが、どうしてもひなこに一目会いたかったので、その店に入った。

店に入ると、ひなこの隣にいた男にとても睨まれた。ひなこは「小日向さん」と顔を赤くした。

小日向さんはひなこと会えて、たまらなく嬉しかった。

ひなこも同じ気持ちで、このまま小日向さんと帰ってしまおうかと思っていた所だった。

するとなんと隣の和真が立ち上がり、「お前どういうつもりなんだよ。いきなりプロポーズって、ひなこバカにしてんのか」と凄い剣幕で言った。

ひなこは「ちょっと」と言ったが、小日向さんが「大丈夫」と言ったので、黙って見ていた。

和真は続けて、「お前がそんなんだからひなこはどれだけ傷ついたと思ってんだよ。お前がそんなんならひなこは渡さない」と言い、隣に座っているひなこの手を引き、店を出た。

取り残され佳音は「ひじょーに気まずいですね。それに脇役は辛いですー」と訳の分からないことを言った。

小日向さんは「すいません」と困り顔で言ったが、佳音は「ひなこ先輩は小日向さんのことだーいすきですよ。だから安心してまたの機会に会ってあげてください」と余計な事を言った。

小日向は、玲央の次の新たな敵かと警戒していたが、佳音のその言葉を聞いていくらか安心した。

そして佳音が「どうせ食べ物も残ってるから一緒に食べましょー」と言うので、小日向はひなこの話でも聞こうかと佳音の前に座ったのだった。
< 93 / 104 >

この作品をシェア

pagetop