3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 あれが最善の策であり、祖父のことを誤魔化せると思っていた自分が滑稽だ。
 結婚を持ちかけたが断られた相手と契約を交わしていたら、きっとすぐに祖父にバレていたかもしれない。

 俺が選んだ相手なら誰でも反対しないと言っていたが、実際に野々花を紹介してから数日後、電話で『きっかけはどうであれ、結婚したのもなにかの縁だ。案外と結婚してから恋愛を始めるのもいいのかもしれないぞ。じいちゃんとばあちゃんもお見合いで結婚した仲だ。理人たちと似ている』と言われた。

 それはつまり、俺と野々花が愛し合って結婚していないということを見抜かれたということ。

 その上で祖父は俺に『長年生きていると、直感が妙に冴えるものでな。……大丈夫、野々花さんとなら理人は幸せになれると思ったんじゃ。現にお前、野々花さんにほの字じゃろ?』と、最後はからかわれてしまった。

 だけど、あながち間違っていなかった。最初に彼女から声をかけられた時は、うちの病院で働く人間にまずいところを見られたと思った。

 まだ医者としてのキャリアも短く、病院内での俺の立ち位置は複雑なものだった。弱みを握られたら、それを元に次期院長としての品格をとらえかねない。
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