3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
 でも、あれは理人さんも悪い。だって鈴木君とはただの友達だって言っているのに、何度も否定してくるんだもの。
 それにあんなかたちでキスするなんて……。

 触れるだけのキスだったのに、今でも思い出すと顔が火照ってしまい、慌てて紅茶を飲み干した。

 席を立ち、ドリンクバーコーナーでおかわりを注ぎながらも、考えてしまうのは理人さんのこと。

 あのキスは、男の人に迫られたらどうなるのか、私にわからせるためだけのものだったのだろうか。もしそうならあんまりだ。感情のないキスほどつらいものはない。

 再び席に戻り、窓から見える景色を眺めて呆然としてしまう。

 渡部さんと理人さんは、恋人でもなんでもなかったってことだよね? だったら理人さんの言う通り、渡部さんが私に忠告しに来たのは執着からくるものってこと?

 でも彼女は理人さんのご両親に認められているようなことを言っていた。嘘をついているようには見えなかったし、実際に初めて彼のご両親に会った時、特別な幼なじみの存在を言ってきた。
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