3年後離婚するはずが、敏腕ドクターの切愛には抗えない
『条件③ 自由に生活していい』
 理人さんに食事管理を任されてから、私の起きる時間は少しだけ早くなった。
 キッチンに向かって冷蔵庫の中を確認し、朝食やお弁当のおかずを考える。

「朝ごはんは鮭を焼いて、漬けておいた茄子の漬物でしょ。あとは……あ、金平ごぼうもあった」

 メニューが決まったところで、お弁当と朝食を平行して作っていく。

 お弁当には、理人さんお気に入りの紅ショウガ入りの厚焼き玉子を必ず入れてほしいと言われている。
 そのほかに今日は豚肉のアスパラ巻きや茄子の煮浸しに加え、色どりにミニトマトを入れてみた。

「うん、美味しそうにできた」

 つい料理中は独り言が多くなり、ひとりで苦笑いしてしまう。
 自分の分も作って残りの朝食の準備に取りかかる。そしておかずをテーブルに並び終えた頃に理人さんが起きてきた。

「おはよう、野々花」

「おはようございます。ご飯、少し待っててください」

 理人さんは身支度を整え終えていて、朝食を食べたらすぐに出勤するのだろう。

 急いでキッチンに戻ると、彼も入ってきた。
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