Anything for you
つい先週、結婚式に出席したところである。

大学の頃からの仲間が結婚し、新郎側の友人としての参加だ。

しかし、心から祝福できていたかと言われると…。


「私、越智くんと居ると安心するの…越智くんの彼女になる人は幸せだよね」

そう言っていたのは、大学時代の仲間の一人だった中原晶子。

何やら、恋に苦しんでいるとのことで、よく僕のアパートにやって来ては、泣いたり愚痴ったりしていた。

朝が来るまで慰めたりもしていたが、僕らの間に、一度だって間違いは起こったことがない。

僕は、そんな甘え上手の中原さんに、長い長い片想いをしていた。

大学入学と同時に知り合い、いつの間に男女混合のグループが出来て、お互いそのメンバーだった。
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