幸せのつかみ方
樹さんのさっきの『手つなぎ』発言は下心なのか?
リップサービスなのか?
それとも冗談なのか?

・・・・まさかの天然!?


まあ、どのみち樹さんが私と本気で恋愛したいなんて思うわけがない。


席に案内された樹さんは、椅子を引いてくれた。
お礼を言って腰かける。
樹さんが私の横に座る。

樹さんから微かにいい香りがした。
柔軟剤から香る程度のほんの少しの香り。

ちらりと横を見る。
メニューリストを見る樹さんが私に視線を移した。
目があい、微笑まれ、私は目を手元にあるメニューリストに戻し、
「おいしそうですね」
と言った。

私の心臓はドキドキしていた。

距離が近いから。
柔軟剤の香りが好きな香りだったから。

だから少しだけドキドキしてしまった。
そんな自分に動揺していた・・・。





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