幸せのつかみ方
「はあ、苦しかったあー」
と一通り笑い終えた私たち。

樹さんの手にはまだ肉まんがある。
それを見て、
「んっふふふふ」
再び込み上げてくる来る笑いを堪えつつ、私は鞄から財布を取りだした。

「お金、いいよ」
と言う樹さん。
「あ、ごめん。んふふふ。違う」
笑いながら、財布からカードを1枚取り出す。

「まあ、包みの上からだから問題ないとは思うけど、一応ね」
と消毒用ウェットシートでカードを拭く。

「肉まん、しっかり持っててくださいね」
と掌に肉まんを持ってもらう。

包みの上からカードを立てる。
ゆっくりと肉まんの間にカードが沈む。

「はい」

樹さんは包みの中の肉まんを見た。

「え!?」

包みの中で巨大肉団子が真っ二つに切れている。

「ええ!? なにこれ! すげえ!!」
目を丸くしている。

「知恵袋」
と笑う。
樹さんは
「紙は切れてない!」
とまだ驚いている。

「早く食べようよ」
と言ってそれぞれの包みに半分になった肉まんを分けた。

包みの中には潰れた皮と飛び出した半分の肉団子。

「そんな裏技あるなら先に言おうよ」
と恨めしそうに言うから
「あははははははは」
とまた笑った。
「んふっふっふっ、ふふ」
と樹さんも笑った。


「潰れてるけど、おいしい」
「うん。おいしい」




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