一途な黒川君に囚われてしまいました
芽生えた独占欲
翌朝の私は寝不足だった。

黒川君の存在が気になってしまい眠れず、気が付くと時計の針は五時前を差していていた、
一時間も眠れていないために、体がとてもだるい。

無理に体を起こしリビングへと行くが、普段の様子と変わらず黒川君の姿がないことにホッとした。
彼は朝が弱いので、まだ夢の中なのだろう。


洗濯機を回し二人分の朝食を作り始めると、黒川君のスマホのアラーム音が鳴り始めた。

すぐに止むだろうと無視していたが、それは止む気配がない。
黒川君の様子を覗くと、けたたましい音がまるで聞こえていないようで、掛布団に抱きつくような体勢で眠っている。

「黒川君……?」

普段なら、何?と爽やかな声で返してくれるはずだが、今は何の反応もない。

「黒川君!」

やや大きめの声を出したが、全然ダメ。

アラーム音はすっかり起こすのを諦めたように止まってしまった。

どうしよう__起こさなきゃ遅刻しちゃう。

「黒川君……入るよ」

同居のルールに私の部屋に彼が入ることはNGだったけれど、逆バージョンについては元々は樹の部屋だったのだから入室できなくなるのはおかしいと彼が言うので作らなかった。
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