一途な黒川君に囚われてしまいました
期待する心と抑える気持ち
一昨日の自分は心が穏やかではなかった。

せっかく今井さんとデートのような外出ができたのに、柏木の存在が嫉妬心を刺激した。

柏木と普通に話をしている彼女を見て、胸がモヤモヤして話を遮った自分は子供じみている。

今井さんの話をする男が自分だけであるという根拠のない自信にうぬぼれていた。


そのせいで、柏木と休憩室で遭遇した今、妙に構えてしまう。

柏木は、「お疲れ」と爽やかに笑うが、普段通り笑い返せない。

「お疲れ」

発した声も固かった。

だが柏木は気付く様子なく、「昨日は驚いたよ」と言って、俺の肩を軽く掴んだ。

近い身長のため、にやにやした表情がよくわかる。

「俺だって驚いた」

まさか柏木と会うなんて。

そして今井さんとあれほど話す仲なんてな__としつこく心で繰り返す。

「いつから?」

「え?」

眉を寄せると柏木は「だからいつからいい感じなの?」と、聞いてきた。

一昨日の二人がいい感じに見えたのは嬉しいことである。
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