一途な黒川君に囚われてしまいました
恋に落ちたあの日から
興奮したことで心の声が漏れたことにひどく焦った。

懐かしい__高校時代の今井さんの写真を見て、つい想いが溢れてしまったのだ。

俺は襟元に青いリボンを付けたブレザー姿の彼女のことをよく知っている。

彼女との出会いは、一六歳になったばかりの街路樹の葉が赤や黄色に色付く季節のことだ。

中高と男子校だった俺は女子との接点がない高校生活を送っていた。

進学校だったためバイトは禁止されており、異性と話をするのは母と祖母と教師くらい。

時々他校の女子に話しかけられることがあったけれど、見た目が派手でこちらのことを考えずグイグイくるタイプばかりで、とても親しくしたいと思えなかった。

それでも恋人の存在には憧れていたため、彼女が欲しいと思ったことはあるものの、女子イコールめんどくさくうるさいイメージが定着し、勉強やスポーツに励む毎日を送っていた。

そんな中で今井さんに出会ったのは、朝テストに間に合うギリギリの時刻のいつもより二本早い電車を待っていた時のことだ。
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