【短編版】誕生日に捨てられた記憶喪失の伯爵令嬢は、辺境を守る騎士に拾われて最高の幸せを手に入れる
 ある日、リーズは村の畑仕事を終えて家路につこうとしていた。

(今日はシチューとパンとそれから……あれ?)

 そこには二コラが誰かと話す姿があった。
 なぜか妙に気になったリーズは森の陰に隠れて会話を盗み聞く。

「これでいいんだよな?」
「ああ、これでうまくいくはずだ」

 そこまでで途切れてしまい、あとの声は聞こえない。

(う~ん。もうちょっとなのに)

 二人はそのまま森の奥のほうへといってしまった。

 帰宅してからもリーズは二コラの様子が気になったが、仕事のことだろうとそのまま流した。
 そして、ベッドにリーズは身を投げて最近もう一つの悩みの種を思い浮かべる。
 そっと服をめくり昼間怪我した腕の傷を眺めた。

(やっぱり、もう傷がない)

 リーズはそのままゆっくりと目を閉じた──
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