【短編版】誕生日に捨てられた記憶喪失の伯爵令嬢は、辺境を守る騎士に拾われて最高の幸せを手に入れる
 リーズの父親の考えが、彼女自身にわかるわけもなく、彼女はそのまま森で3日3晩さまよい続けた。

(もうダメ……食べるものもないし、飲み水もない、限界だわ)

 リーズはその場で仰向けに倒れて空を見上げる。
 すると、雲行きの怪しかった空はやがて雨が降り出し、彼女に容赦なく降り注ぐ。

(ここで私は死ぬのね、お父様ごめんなさい。そして、お母様、今そちらに向かいます)

 ゆっくりと目を閉じて意識を失ったリーズ。
 その身体をゆっくりと抱きかかえる一人の騎士がいた。

 彼女は騎士の乗る馬に乗せられながら、森を脱出した──
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