屋上で廿樂くんと、ヒミツのこと。

ぜんぶ、ぜんぶ


「……んん…」



……今度は保健室…じゃない。



目を開けなくてもそう直感的にわかるのは、きっとこの柔軟剤の匂いが嗅ぎなれたものだから。



カラスの鳴き声が聞こえる時間に目を覚ました私は、自分の部屋のベッドで横になっていて。



時計を見ると5時を回っていた。



外はもう薄暗く、部屋の中は真っ暗。



電気も消され、カーテンも閉められているらしい。



…あれからまた寝ちゃったんだ。



今日は寝てばかりな気がするなぁと思いつつ、頭痛が弱まっていることに気がついた。



意識も段々ハッキリしてきて、一気に色々思い出す。



っ…もしかしてアレって、夢じゃないの…?



“アレ”とは、廿楽くんに抱っこされたことである。



そして、明楽先輩が言っていたことも思い出した。
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