シュリ王子は連れ帰りたい


「理亜、どこ行ってたんだよ!」



ギターバックを背負った柊真君が

鬼気迫る勢いで

両腕で私の腕をつかんできた。



「心配したじゃねぇか!

 理亜がマジで……
 ゾンビに食べられたのかと思って……
 俺……」



私の腕を握ったまま

地面にしゃがみこんでいる。



「理亜が俺の誕生日に
 仕事なんて入れるから……

 俺、寂しくて……酒飲んで……

 気づいたら女と一緒にいて……

 ゴメン……マジでゴメンな……」


心から反省したように

柊真君が、必死に謝ってくる。




初めてだよ。

いつも上から目線の柊真君が


うなだれながら

私に頭を下げるなんて……

< 95 / 114 >

この作品をシェア

pagetop