黒川と私。



何時間尋ねていただろう。


もうすっかり空が赤く染まりだしている。



あっ、ここら辺に詳しそうなお爺さん発見っ!!

「あのぉ、すみません。猫を捜していて...お話伺ってもいいですか?」


「あぁ、いいよ。こんな歳だからぁ、あてにならんかもしれんがなぁ」


「ありがとうございます。じゃあ、えっと、猫の特徴は―






「うーん、なんか前にも同じようなことを聞かれたような...

 うーん、ちょっと待ってなぁ...

 あぁ、そういえば、三十年ほど前だったかなぁ。いたよ、その特徴に当てはまる猫が」



いやいや、三十年前の猫なんて生きてるわけないじゃん...



「三十年前、ですか......あ、えっとぉ、さ、最近はどうですか?」


「最近は見ないなぁ。白いのはいるけど、その特徴に合った猫は...」


「そう、ですか。ありがとうございます。わざわざ時間頂いちゃって。じゃぁ、さようなら」


「気をつけての」



その後も色んな人を尋ねていたが、有力な情報は得られず、そのまま黒川と別れた。



< 12 / 45 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop