黒川と私。
何時間尋ねていただろう。
もうすっかり空が赤く染まりだしている。
あっ、ここら辺に詳しそうなお爺さん発見っ!!
「あのぉ、すみません。猫を捜していて...お話伺ってもいいですか?」
「あぁ、いいよ。こんな歳だからぁ、あてにならんかもしれんがなぁ」
「ありがとうございます。じゃあ、えっと、猫の特徴は―
「うーん、なんか前にも同じようなことを聞かれたような...
うーん、ちょっと待ってなぁ...
あぁ、そういえば、三十年ほど前だったかなぁ。いたよ、その特徴に当てはまる猫が」
いやいや、三十年前の猫なんて生きてるわけないじゃん...
「三十年前、ですか......あ、えっとぉ、さ、最近はどうですか?」
「最近は見ないなぁ。白いのはいるけど、その特徴に合った猫は...」
「そう、ですか。ありがとうございます。わざわざ時間頂いちゃって。じゃぁ、さようなら」
「気をつけての」
その後も色んな人を尋ねていたが、有力な情報は得られず、そのまま黒川と別れた。