初めてのキスも涙も教えてくれたのは君でした
初めてのキスも涙も教えてくれたのは君でした
『会いたい』

眠りにつこうとした頃、甲高い通知音が鳴り響く。

たった4文字のメッセージに私の心はまだ揺れ動いてしまう。

だけど、もう会うことはない。

顔を見たら、涙がこぼれそうになるから。


初めて付き合った男性だった。

初めての手つなぎデートも、初めてのキスも全部教えてくれた人だった。

どんなに忘れようとしても、忘れることなんてできない。

ベッドに横になってみても、眠れるはずなんてない。

私は携帯を手にとった。



『最後に一つだけお願いがあるの』

付き合い始めたばかりの頃は幸せだった。

ちょっと面倒くさくなるほどマメなメッセージ。

今何してるとかどんなものが好きとか、そんな他愛もない会話も愛されてる感じがして嬉しかった。

だけど、私の初めてをあげる度に彼との距離は少しずつ広がっていった。

あんなにマメだった連絡も、ほとんど来なくなってしまった。



『新しい彼女ができたら、私みたいに愛さないで』

彼といても幸せにはなれない。

だから、私から別れを切り出した。

今度こそこれで終わりにしよう。

そう思ってメッセージを送ったのに、彼からまた返信が来てしまう。



『もう一度やり直したい』

どうして今更そんなこと言うの?

またあの日に引き戻されそうになる。

彼に愛されてると勘違いして幸せだった日々。

もうあの日には戻れない。 



『これでメッセージを送るのは、本当に最後にするね』

だからもう、今度こそ終わりにするね。

私は最後のメッセージを彼に送った。



『今までありがとう。ごめんね。ばいばい』

もう二度と彼からのメッセージが届かないように、私は彼をブロックした。
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