婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!

 ある日の夕食でリリス師匠が「もう自由にしていい」とポツリと呟いた。

「今日で実験は終わり。今までの解呪の報酬も渡すわ」
「いえ、そんなの受け取れません。ここまでで十分よくしてもらいました」
「なに言ってんのよ、それなら報酬を倍にするわよ?」
「ええっ!? なんで倍になるんですか!? 意味がわかりません!」

 リリス師匠の突飛な発言に、いつものように言い返した。私はこの三年間で、こんな風に遠慮なく意見を言えるようになっていた。そうでなければ、平民から貴族までを相手する解呪の仕事をこなせなかったからだ。

「寂しくなるけど、私はいつでもセシルの味方よ」
「リリス師匠……ありがとうございます。私はこれからも解呪をして、魔女たちのために尽くします」
「ふふ、お願いね。あなたは私たちの希望の星なの」

 そうして私は解呪の魔女として隣国で独り立ちしたのだった。


< 20 / 215 >

この作品をシェア

pagetop