婚約者を奪われ追放された魔女は皇帝の溺愛演技に翻弄されてます!

     * * *

 ふかふかのベッドに肌触りのいい掛け布団が気持ちよすぎて、目を開けたくない。

 小鳥のさえずる声が軽やかに耳に届く。それから耳元の規則的な寝息に安心感さえ感じた。

「え、ちょっと待って。寝息……?」

 寝返りをしようとしても身動きが取れず、背中には明らかに寝具ではない温かさを感じる。掛け布団を勢いよくめくってみると、太い腕が回されてがっしりと抱きしめられていた。

 私の作ったバリケードが跡形もないじゃないっ!!

「ちょっと起きてよっ! レイ! 離してっ!!」
「んん……もうちょっと……」

 悪魔皇帝のくせに、なに甘えた声出してるのよ!? それよりもさらにキツく抱きしめてくるとか、本当に無理なんですけどっ!!

 レイの腕から抜け出したいのにビクともしなくて、包まれるような温もりに心臓がおかしくなりそうだった。

「離してって言ってるでしょー!」

 レイはまったく起きる気配がなく、思わず本気で闇魔法を放つ。雪の結晶の形をした闇魔法は、レイの両手首をベッドボードに貼りつけるようにいくつも重なった。

「ん? なんだ、これは?」

 ようやくレイの目が覚めたらしい。


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