クリスマス
キッチンに入って来た夫は、テーブルに並べられたご馳走を見てア然としていた。
「お帰りなさい」
私は出来るだけ平然を装って、いつものように上着と鞄を預かる。
「これ、どうしたんだ?」
「作ったんですよ。今日はクリスマスだもの」
語尾が弾んでしまうのをなんとか堪える。
夫は料理にくぎづけだ。
「何か良いことでもあったのか?」
その質問には困ってしまう。あったと言えばあったが、ないと言えばない。
「強いて言えば、何かしたかったからです」
私はそう答えた。