太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~

「ごちそうさまでしたぁ。麻依先輩は料理もお上手ですよね!いつも美味しくてすごいなぁ。諒さんが羨ましいです」

「ううん、そんなことないよ。特別すごい料理とか作れないし、誰でもできるものばかりだよ?でも、そう言ってもらえるのは本当に嬉しいんだ。ありがとう、ひよりん」

「あ、食器は私が洗いますね。洗うのなら得意ですから、エヘッ」

「ありがとう。ひよりんの作るお料理も美味しいよ?私もそう思ってるし、翔琉くんもそう言ってるでしょ?」

「え、何で知ってるんですかぁ!?」

「翔琉くんが言ってたから。ふふっ」

「もー…恥ずかしいです」

「ラブラブでいいなぁ」

「あっ、そうでした、今日の目的はそのお話です!洗ったら聞きますから、ちょっと待っててくださいねッ」

と言うと、丁寧且つスピーディに洗い終えた。




「さぁどうぞ!私がついてますから!」

トン!と胸を叩いて言うひよりんに甘えて、食後のコーヒーを飲みながら、昨日の出来事と自分が悩んでいることを話した。


自分の心の狭さとトラウマ。

いや、大学生の時に幸成くんに蔑ろにされたことは実際のところ忘れていたし、トラウマではなかったんだけど、今回はただちょっとだけ重なってしまった。

浮気ではない、ただ昔馴染みと話していただけなのに…
なんでこんなに気にしてしまうのか。


「なんか自分が情けなくてさ…」

「そんなことないです!相手の女にそんなこと言われて、さらに彼氏にもそんな対応されたら誰だって悲しくなりますし、ムカムカします!あぁもう、諒さん何やっちゃってるんですか!ちょっといつもの諒さんからは信じられないくらいです!」

「ん…なんかすごく久しぶりだったみたいだし…それに可愛い人だったし…気になっちゃったのかな…」

「いえ!知り合いに久しぶりに会ったという意味では気にはなったでしょうけど、可愛いとか好きとかでは気になってません!絶対!それにそんな女、諒さんは絶対好きになりませんから!あのユリナって人と同じでっ!」

ふんぬっ!と身を乗り出して力説してくれた。

北見さんといいひよりんといい、自分以上に憤慨してくれる人がいることに、堪らないほどのありがたみを感じる。


「ありがとう、ひよりん…嬉しすぎる…」

「麻依先輩に溺愛の諒さんのことですから、きっと悪意みたいなのは絶対になかったと思いますけど…でも結果的に蔑ろにしちゃったんだからダメです。心も体も置いてきぼりにしちゃダメなんです!…お話するなら麻依先輩の気持ちが落ち着いてからにしてくださいね!じゃないと麻依先輩が壊れちゃいますからっ」

「ひ~よ~り~ん~」

あまりにも嬉しくて…
ぎゅうってして泣いちゃった…

「アハッ、マイマイはいいコですぅ」

泣きながら抱き付く私の背中を、ひよりんはヨシヨシと撫でてくれたから…しばし甘えさせてもらった。


「もうこんな時間…。ありがとね、ひよりん。心の力が湧いてきたよ。ほんとに私は幸せ者だね」

「うふふ、マイマイのためなら、たとえ火の中、水の中!ですもん」

「私もひよりんの力になりたいよ…」

「それは毎日力になってもらってますから」

「ひよりん…ホントにありがとね」

「はーいッ!あ、ごちそうさまでした!ではまた明日ですッ」

「わざわざ家まで来てくれてありがとう。気をつけて帰ってね」

車まで見送ると、ひよりんは「ハイッ」と可愛い敬礼で去っていった。
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