太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
「えっと…今日のお通夜は18時からで、ご喪家様の会場入りは16時。そして…」

施行に関する細かい情報が記入された施行台帳を見て、準備に不備が無いか再度確認する。

…あ、喪家控室のこの件てどうなったんだろ…
今井さんから「後で連絡する」と言われていたが未だ聞いていない事を思い出し、とりあえず支配人に確認してみるか、と席を立つ。

「ひよりんごめん、控室の件、ちょっと支配人に聞いてくるね」と言葉を残し、施行担当者のいる事務室へ向かった。


コンコン

開いている事務室のドアを軽く叩いてから声をかける。

「支配人、すみません、今いいですか?」

「はい、何でしょう」

「喪家控室の件ですが、今井さんから連絡ありました?」

「えぇ、聞いてますが…フロントには行ってませんか?」

「はい、連絡がなくて。私ももっと早く気づけば良かったのですが…すみません」

「いえ、こっちの担当の責任です、申し訳ない。…ではそちらの台帳にも書かないとなのでフロントで説明します。行きましょうか」

「はい、お願いします」


歩きながら支配人に、今井さんにフロントへの連絡について聞かなかったこと、連絡が行っていると思い込んでいた事を謝られてしまった。

こういう連絡ミスが怖いので〝報連相〞って大事ですよね、なんて話しながら支配人と2人フロントへ向かうと…何やら騒がしい声がする。

また渡瀬さんが息抜きのおしゃべりをしにやってきているのかと思ったら、見えた姿はスーツを着た初老の男性でお客様の様だった。

フロントでカウンター越しのひよりんに強い口調で何か話している。

支配人と顔を見合わせ、早足で駆けつけた。
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