太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~

元カノへのプロポーズ疑惑

俺は呆然としたまま控室へ戻った。


「ちょっと諒くん、元カノって、月乃ナルミと付き合ってたの?どーゆう関係?」

千紗さんが厳しい顔で俺に問う。

「知りませんよ…てか、それさっきの人ですか?…初めて見た人だし、名前だって聞いたことないし…俺の方が聞きたいですよ」
はぁ…

「え!諒くん、ナルナル…ってか月乃ナルミ、知らないの?有名なモデルだよ、最近はドラマにも出て女優活動もしてるしさ。さすがの諒くんでも彼女くらいは…」

「全く知りません、興味ないですから」

「うん、諒はそうだよね。テレビも見るのはニュースとお笑い芸人が出てるのばかりだもんね。…千紗、私は諒を信じるよ。さっきのあれはどう見ても本当に怖がってたもん」

「麻依…ありがと。俺、本当に知らない人だから……プロポーズだって麻依が初めてだし、麻依にしかしてないよ…麻依だけだよ…」

麻依の肩に顔をうずめる俺の背中を、麻依がよしよしと撫でてくれる。
はぁ…嬉し……安心する……


「そっスね、職場でも諒さんからはお笑い芸人の名前しか聞いたことないっスね。智さんが〝みきゅるん〞の話をした時も、諒さんは全然知らなかったっスからね、ハハハ」

「モデル業のみならずアイドル、タレント、女優とマルチに活躍するみきゅるんも知らないとは……諒くん、恐るべし…」

「興味ない事には首を突っ込まないんです、俺は」
「ふふっ、諒はそうだよね」
ってよしよししてくれるのがマジで嬉しい。

「あっ、もしかしたらさっきのはドッキリ企画とかじゃないですかぁ?きっとカメラがいたんですよぉ。…素人さんをひっかけるのは悪趣味ですけどぉ」

「だったらいいんだけどね……あーマジで怖かった…」


「まっ、あたしも諒くんのさっきのあの状態を見て本当に知らなそうだな、って思ったんだけどさ、ちょっと試しちゃった。ゴメンネ」
と千紗さんがペロッと舌を出した。

「いえ…みんなに信じてもらえてるのがわかったので結果オーライです…」


「それじゃ、ここは早く退散した方がいーんじゃないスか?さっきナルナルが去り際に、また後で会おう、って言ってたっスよね」

「あっそうよ、言ってた!…じゃあ見つからない内に早く出るわよ!みんな、忘れ物のないようにね!」

千紗さんの勢いに背中を押され、スタッフさんに挨拶をすると俺達はそそくさとテレビ局を出た。


「じゃあ俺達はここで」と日帰りの翔琉と陽依さんは東京駅へ、俺と麻依と千紗さんの3人はタクシーで今日の宿泊先〝ラピスニューグランドホテル高輪〞へと向かった。

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