太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
それぞれの都合を合わせ、ライト建設との最初の打ち合わせはそれから3日後の午後1時となった。

会議室としても使用するソレイユの小ホールに、ライト建設の社長と富山さん、うちの森田社長、第三支社長、あと施行を担当する俺と上原さんと高見くん、さらに富山さん直々の申し出により羽倉さんも集まった。


この場にフロントスタッフが加わるのは珍しい…というか、まずないだろう。
だが富山さんの申し出に森田社長も支社長も「それがいい」と賛成した。

んー…羽倉さんはいろんな人達から一目置かれているらしい。



富山さんは会長の元部下で、専務という役職に加え、会長をよく知る人物として社葬の代表者となったそうだ。

会長は1年ほど入退院を繰り返していたが、この数ヶ月は入院だけになり、病気の進行も早まってきていたらしく、医者からも余命を告げられていたらしい。

ここ最近はさらに調子が良くないらしく、社葬に関わったことがない富山さんは、一から教えてほしいと俺に連絡を下さった。

森田社長が同席したのはこの日のみで、その後は支社長が同席して話し合うこと数回。

ある日、会長が亡くなったと富山さんから一報が入った。

先に身内だけで密葬を行い、その後、日を置いてから社葬、という、打ち合わせ通りに進める。


この社葬の施行主任担当者となった俺は、初めての大きな社葬に一人で奔走していた。

…たぶん『主任担当者』って立場に一人でテンパってたんだと思う。
そんな自分の仕事にイラついたり、疲労が出ていたのかも知れない。

ソレイユでも初めての規模の葬儀ということだったが、上原さんや高見くんをはじめスタッフのみんなは普段通りに着々と自分の仕事を進めていくと同時に、こんな俺に随所で手を差しのべてくれた。

もちろん羽倉さんにもいろんな場面で気遣ってもらっていた。
頑張りすぎる俺を休憩に誘ってくれたり、ミスしがちな部分を指摘してくれたり。
特に羽倉さんの笑顔にパワーをもらっていた。

俺も少しずつ仕事で誰かに頼る…というか甘える事が出きるようになり、社葬当日を迎える頃にはソレイユスタッフがワンチームになっていた。
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