太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~

急接近/side麻依

ふぅ…眠ったかな…?

無理やり連れてきちゃったけど…

いや、ほんとに!
だいぶ無理やりだったよね!?

一人暮らしの独身女が年下の同僚男性を強引に連れ込んだ、ってことだよね!?

うわぁ…やばいやばい…支配人が起きたら何て言おう…

でも、飲み会の途中から様子がおかしかった支配人を一人にはさせたくなかった。

誰かに頼むという手もあった筈なのに…私はそうしたくなかった…

責任感?
うん…どうだろう…

何でかな、私が面倒をみたいと思った。

冷凍室から氷枕を取り出し、タオルを巻いたそれを支配人の頭の下に滑り入れる。

あとはおでこにこれも貼って…

ペトリ

よし、ひとまずこれでOK。
これ以上、熱が上がりませんように。

…疲れが出ただけならまだいいんだけど、これ以上ひどくなる様なら夜間救急かな…

とりあえずは様子見だね。

こういう時って、自分の疲れってどこかに飛んでっちゃうんだなぁ…不思議。


それにしても。
今日の支配人は…おかしい…

飲み会の途中から2人で話してたけど、その辺りから、その…何て言うか…

やたら色っぽくて…
あまり支配人を直視できなかった…

たまに顔を上げると視線がぶつかって…
その眼差しがとても妖艶で…
すごくドキドキした…

職場ではいつも普通に目を見て話せてたのに、今日はすごく〝男の人〞って意識させられてる…

あ、おかしいのは意識しちゃってる私、なのか…な?


穏やかな寝息をたてて眠る支配人を見る。
…こんなに間近で見るのは初めてで、ドキドキする…

あぁ、やっぱりきれいな顔だなぁ…
まつ毛、意外と長いんだ…

薄く開いた唇に目がとまり、ドキリとする。

…支配人……佐伯くん……と…

キスしたら…

どんな感じなんだろ…

唇に近づき、触れたそうにしている人差し指が目に入り、我に返る。

って、いやいやいやいやいやいやいやいや!
ちょっと私、なに考えちゃってんの!?
今、支配人の唇に触ろうとした!?

枯れすぎて『欲求不満』なんて言葉すら出てこなかったのに、何でこんなこと…!

やっぱり私、おかしい!
シャワーを浴びてすっきりしてこよう!

…かと思ったけど、まだ目を離さない方がいいよね…

メイクだけ落としてきます、と心の中で呟いて、支配人の傍を離れた。

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