太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
翌日――


「そっか!2組ともうまくいったのかー、良かったな!」

朝礼後、上原さんと翔琉と俺はフロント内の事務所へ。
そして、麻依が出してくれたコーヒーを飲みながら始まったのは、上原さんへの報告会だ。


「うまくいったのは修さんのお陰っスよ。上原作戦が功を奏したつーか」

「いや、元々それぞれが惹かれ合ってただけの話だよ」

「いえ、翔琉も俺も上原さんに背中を押してもらいましたから、な?」

「そうっスよ、諒さんの言う通りっス」

「あれ?2人とも、呼び名が名前になったんだ?」

「あ、そうっスね、昨日そうしようって麻依さんが」

「遊ぶ時まで『支配人』て呼ぶのも変だし、せっかくだからこれを機会に親しくなれたらって思って。ふふっ」

「えぇ、麻依のおかげで打ち解けられて」

「あー!麻依さんも名前になった!」

「松島さんも陽依さんて呼ばせてもらってます」

「そっかー、じゃあ俺も名前で呼んでよ」

「はい、俺も修さんて呼ばせてもらいますね。修さんも俺のことは諒って呼んでください」

「おぉー!何かいいな!一段と仲良くなった感じがするな!今度はウチの家族も連れて一緒に海行きたいなぁ」

「「ダメです!」」
俺と翔琉が同時に叫んだ。

「えっ、何でだよ」

「修さんちの息子さん、中高生っスよね、思春期真っ只中の男に麻依さんと陽依の水着姿は刺激が強すぎますって」

「それに、修さんの息子さん、2人ともカッコいいじゃないですか」

「えっと…お前達は中高生にヤキモチをやくのか?」

「歳なんて関係ないですよ」

「それに、カナさんが諒さんに惚れたらどーすんスか」

「あぁカナは大丈夫。カナは俺にベタ惚れだからね。まぁ諒には違った意味で熱視線を送るかもしれないけど」

「ベタ惚れっスか?」

「カナのスマホの待ち受けのオーサ様って見たことある?」

「はい、この前みんなで見せてもらいましたけど…」

「あれ、俺だから」

「え?」

「オーサ様は俺だよ」

「「「「えぇぇ!?」」」」

「実は俺ら夫婦でコスプレイヤーなんだよね、ははは」

「コスプレイヤー…」

「そう、あれは俺オリジナルのキャラ。だから名前の『オサム』から取って『オーサ』ね。たぶん他のコスもスマホにあるんじゃないかな」

「…麻依先輩、後で見せてもらいにいきましょう!」

「そっそうだね!見てみたいね!」

「陽依!?」
「麻依!?」

「ちょ、修さーん…何いらんこと言ってんスか…興味持っちゃったじゃないスか…」

「ははは、ゴメン、そんなつもりじゃなかったんだけど」

「あ、上原さん、カナさんの別の意味の熱視線て何ですか?」

「あぁ、カナはいい素材を見つけるのも趣味でね。諒みたく王子様系のイイ男を見るとコスさせたくなるみたいで、脳内でオーディションしてるっぽいぞ、ははは。でもそれ以上の思い入れはないから安心して、麻依さん」

「そうなんですね!諒くんのコスプレかぁ…見てみたいかも。絶対似合うよね」

「ちょっと麻依?俺はしないからね?」

なんて言ってはみたけど…麻依がカッコいいって言ってくれるならやってもいいかもな。

「とにかく!麻依さんと陽依の水着姿は子供には目の毒っス!」

「写真ないの?4人の」

「ありますよー。はい」
と、麻依がスマホを取り出して見せた。

「…うーん…確かに麻依さんと陽依さんの水着姿はあいつらには悩殺だなぁ…」

「だから言ったじゃないっスか」

「でも諒も翔琉もナンパされ放題な男に見えるな。これはお互いに大変だっただろ?」

「そうですね。陽依さんと麻依はほんとに…。あ、じゃあ続きはまたの機会に」

「おっと、もうこんな時間か」

「じゃー仕事に戻りますか!コーヒーごちそうさんでした」

こうして修さんへの報告会は、終わりの見えない会話に終止符を入れて幕を閉じた。
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