太陽がくれた初恋～溺愛するから、覚悟して？～

その食事、危険です／side麻依

はー…もう定時かぁ…

ほんとならデートだったのに、予定なくなっちゃったな…
まぁとりあえず着替えよう。


「麻依先輩、すみません、お先です」
「ひよりん、今日はデート？」
「エヘヘ、そうなんです」
「ふふっ、楽しんできてね」
「ハイ、ありがとうございますッ！ではお先に失礼します」
「おつかれ～」


…さてと。
じゃあ私はどこかお店に寄って帰ろうかな…


RRRRRR　RRRRRR…

っと、内線か…誰だろう。
「はい。ソレイユフロント、羽倉です」

『あ、羽倉ちゃん、いたいた。オレ、横田だけど』

横田さんか…

「お疲れ様です。時間外ですが…何かありましたでしょうか」

『へへっ、仕事終わったからかけてみた。羽倉ちゃん、今日ヒマ？』

「ヒマではないですが…何でしょうか」

『あのさー、支社長から頼まれてんだけど、ボーナス査定の調査でさ、ソレイユのメンバーのこと教えてほしいわけよ。働きっぷりをね。んでそれを羽倉ちゃんにお願いしたいんだけど、今日メシ食いながら話さない？』

「今日、ってこれからですか？」

『そーそー、ホテルのディナー奢るからさー』

「いえ、それでしたらファミレスで結構ですが」

『そんなこと言わないでさ、スタッフの話もゆっくり聞きたいし。どう？』

「…わかりました…ソレイユの全スタッフの働きぶりをお話ししたらいいんですね？」

『そーそー。じゃあOKってことで、20時にラピスニューグランドホテルの最上階のレストラン〝グランド　ラピス〞で待ってるから。じゃね』

プツッ ツーツー…


はぁ…めんどくさいことになった。


横田さんは第三支社の副支社長。
社長と親しい間柄とは聞くが、仕事は特に突出したところはなく、とにかく女好きで有名な人。
アラフォーだが若く見えて容姿も悪くない。
甘い言葉に騙されたり、仕事の話と言われて会ったがホテルに連れ込まれた女性社員もいるとの話も聞く。


…きっと私に言ったボーナス査定の話も嘘だろう。
でも断ってもまた手を変え品を変え言ってくるはず。

現に、今まで何年にも渡り何度も誘われているが、全て断っていたのだから。

今回も断ってもよかったのだが、諒くんがそうしたように、一度会ってそこで今後の誘いは一切受け付けないと、ハッキリ断ればいいのでは、と考えた。

…危ない橋なのはわかっているが、この話を受けることにした。