太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
俺はユリナと一緒にタクシーでラピスニューグランドホテルに来た。

可愛げにみせて強引に腕を絡ませてくんのがすげぇウザいけど、言うと言葉も行動も倍にして返ってくるし、会話すらしたくないから放っておく。


タクシーの中で調べておいた、ホテルの上層階にあるバーに入り、軽めの食事とアルコールをユリナに勧めた。

酒はあまり強くないのか1杯でいい気分になってきた様で、ユリナはトロンとした目で、隣に座る俺にもたれ掛かってきた。


あーウザい…

麻依だったら喜んで受け入れるし、なんなら抱き抱えるんだけど。


「ユリナねぇ、あの頃と違ってもうオトナらよ?あのね、諒ちゃんが喜んでくれるようなことも、いっぱい知ってるんらよぉ?」
呂律が回らない喋り方でウフフ、といやらしい笑みを浮かべている。


お前で俺が喜ぶと思ってんのかよ…
ハァ…
ため息しか出てこねぇ。


そんな俺の腕に自らの胸をぎゅうぎゅう押し当てると、俺の腿を艶かしくさすってきた。


ぞわり。

…うわ、マジで鳥肌立ってんじゃん、俺…


「…ねぇ、そろそろぉえっちな気分になってきてるれしょぉ?」

「え?何それ」

「んふ、さっきのマカロンねぇ、ちょーっと魔法をかけたんだぁ。ふふっ、諒ちゃんがぁ、ユリナにぃ、えっちな気分になりますよぉにぃ、ってぇ」


…あぁ、そういうこと。
さっきからやけに熱いなとは思ってたけど空調のせいじゃなかったのか。
ふぅん、なるほどね。

でもそんな気は全く起きねぇよ、お前にはな。

…ま、そっちがそこまでやるなら、俺もとことんやらせてもらうか。

「もう一杯飲んだら店を出る?」
「うんッ」
「これなんか甘くて飲みやすいんじゃない」
「じゃあこれにするぅ」


マスターから新しいカクテルを渡されたユリナがニタァと笑う。

「諒ちゃんがアタシのものになってくれるんだぁ、うふふふ」


うへぇ、気味が悪い。
まだ鳥肌が収まらなくて、つい腕をさする。

甘くて飲みやすいのか、ユリナはカクテルをコクリコクリと早いペースで飲んでいる。


…つか誰が誰のものになるって?
俺はそんなこと、ひとっ言も言ってねぇけど。


俺は麻依だけのものだ。
麻依も…俺だけの麻依だ。

既に目が据わってきているユリナは気分良く言葉を続ける。

「ねぇ諒ちゃぁん、あたしもあのマカロン食べたんだぁ、だからぁ2人で気持ちくなれるんらよぉ?」


「ごめん、また電話。ちょっと出てくる」
そう言い残し、俺はバーを出た。


そうか、アイツも食ってたのか…
酔いやすいのはそのせいか?…はわからないが、ユリナがもう少し酔いが回るまで少し時間を置こう。


…そうだ、今のうちに最上階へ…
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