太陽がくれた初恋~溺愛するから、覚悟して?~
ホテルを出て10分位で俺のマンションに着くと、麻依と手を繋いで俺の部屋へ向かう。


…エレベーターに2人きり。

無性に抱きしめたくなって、ギュ、と握る手に力が入ってしまった。
それに気付いた麻依の、俺を見上げた「ん?」って顔にキスしたくてしょうがない。

…麻依…



鍵を開け俺の部屋に入る。

「おじゃまします」

麻依が律儀に言う。
それはいつものことなのだが、それすらも愛しくて…
靴も脱がずに麻依を抱きしめた。

「諒くん…?」

玄関でこんなことするのは初めてだったから、麻依は驚いてるみたいだ。


「麻依…あぁ麻依だ…麻依…」

気の効いた言葉なんて出てこなくて、ただただ名前を呼んで頭を撫でて抱きしめた。


「諒くん…」

麻依が俺の背中に手を回してくれた。



…どのくらいそうしていただろう。
ようやく体を離した俺は、麻依を部屋に促した。



キッチンから麻依に問う。

「コーヒーにする?紅茶にする?それとも…俺?」
なんて半分本気の質問。

「じゃあ紅茶にしようかな。ふふっ」

…だよね。そう来ると思ったけど。

「俺じゃないんだー、そんなこと言う麻依なんて、プンだ」

「あはは、それじゃあ福田くんだよ」

「あれ、かわいいよね『プンだ』って。福田さんが言ってもかわいくないけど」

「そうだね、でも諒くんが言ったらなんかかわいい」
ふふっ、なんて可愛い顔で笑うから。


「もー、そういうこと言うなって…」

お湯が沸く間に麻依の元へ行き、ちゅ、とその可愛い唇に軽くキスした。

「我慢できなくなるだろ?」

顔を赤くする麻依がこれまた可愛くて…
キスしたくなって…
ってこれ、俺が自分で自分の首を絞めてんじゃねぇか…って、今気付いた。


「ダージリンとアールグレイとアップル、どれにする?」

「そうだなぁ、アールグレイがいいな」

「おっけ、俺もそうしよ」

「ごめんね、お手伝いもしないで」

「俺の家だしね。麻依の家だと麻依がしてくれるじゃない?」

「そうだけど、こういうのって彼女がするんじゃないの?」

「俺は気にしないけど。したい人、できる人がやればいんじゃない?俺は今、俺が麻依にしてあげたくてやってるし」

「そっか、そう言ってもらえるととっても嬉しい。ありがとう」

あーもう、だからその可愛い笑顔を見せないで。見たいけど見せないで。
我慢できなくなるから。



「はい、アールグレイ」

「ありがと、んー…いい香りだね」

「ん、ほんと」


言葉少なに、2人でしばし紅茶を楽しんだ。
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