人を見た目で判断するな〜ダサダサ御曹司の真の顔〜
「みたいですね。私の周りには、そう呼ぶ人がいないので聞く機会はないですが……。どこがダサイのか全くわかりません」

「……。そうか。ちなみに香月くん視力は?」

「両目1.5です!」

 武田部長と会話をしていると、後ろから『プッ』と笑う声が聞こえた。

 夕が振り返ると、ボサボサ頭に眼鏡を掛けた専務が笑っているではないか。

「聖七くん、盗み聞きか?」

 武田部長が親しげに話かける。

「人聞き悪いですね。ちょうど今スタジオ入りしたんですよ」

「そうか。で?人選は誰が?」

「……。俺だけど……」

「ブハッ」武田部長は、何かに気づいたのか腹を抱えて笑っている。

 夕だけが、全く理解出来ないままだ。

「さあ、撮影の準備をするぞ」

 都合が悪くなった聖七が、スタジオ全体に声をかける。

「はい!」

 このスタジオにいる唯一の女性で、若い夕だけが返事するのだった。
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