七つの大罪(魔族神)の末っ子
一章 始まり

憤怒が好いた人

私は憤怒。
怒りの力を司る魔族神(まぞくしん)で、世界が怒りを覚えた時に生まれた七つの大罪の末っ子だ。
性別は一応は女だが男にもなれる。
この性別はただ単に私が生まれる直前に私の司る憤怒を覚えたモノの性別が女に多かったからだ。
この性別の話は私だけではなく私の兄弟にも言える。
一番初めに生まれた怠惰は無(性別が無い)
二番目に生まれた暴食は男
三番目に生まれた強欲は女
四番目に生まれた傲慢は男
五番目に生まれた色欲は男
六番目に生まれた嫉妬は女
そして七番目に生まれた憤怒(私)は女
怠惰は生まれた時、男女どちらも同じ様に怠惰だったので性別を持たないで生まれたみたいだ。

私達兄弟が七つの大罪と言われるのは私達兄弟の司る力が負の力だからだ。
大罪と付けられた私達兄弟は魔界で暮らしている。
私達兄弟は魔族に神様みたいに崇められていて、魔族の神という意味で魔族神と名付けられた。
私の兄弟は魔族達の憧れなのである。
そんな兄弟達には恋人がいる。

「怠惰、お前は相変わらずに美しいな」
「、、、それはどうも。それでわざわざ魔王様自ら来る程の用っていうのはなんだ?」
「ああ、それは、、」

どうやら魔王が私達の家に来ているみたいだ。
魔王の力は私達兄弟と同じくらい強く、私の兄弟達と同じで魔族の憧れである。
そして、私の兄弟達の恋人でもある。
ちなみに、魔族達は恋人が何人いてもある例外以外はいけない事ではない。
魔族達的には恋人が何人もいる事は普通なのだ。
それと、私達兄弟の全員が性別を女にも男にも変えられるので男と付き合っている時は女に、女と付き合っている時は男に性別を変えているらしい。

少し話がそれたが魔王は私の兄弟の上六人全員と恋人関係だ。
私?私はみんなに畏れられているので私と恋人になりたいなんて言うモノは居ない。
ちなみに、私を畏れているのは魔族だけではなく私の兄弟以外のこの世界中のモノ達全員だ。
だが、畏れられても仕方ないのだ。
私はかなり強い。
それこそ神と言われるくらいの力を持っている。
それに加え私の司る力は憤怒だ。
短気で直ぐに怒る存在だと思われていて、怒らせたら一瞬で殺されるかもしれない存在を畏れない方が変なのである。
私は別に短気でもないし、直ぐに怒る事もないのだけど、私の司る力は憤怒なのでそう思うのは仕方ないのだろう。

「~なのだが、頼めるか?怠惰」
「はぁ、仕方ない。頼まれてやる」
「そうか、すまないな」

魔王は恋人と話すのが楽しいのだろう、表情も声も楽しげだ。
(今日は顔だけではなく声も聞けたな。兄弟達と話ている時はとても楽しそうだ。良かった。だが、この雰囲気を壊さない為には私はこの部屋から出ない方が良いのだろうな)

魔王は私を見ると無表情で冷たい雰囲気になり、恋人と居ても私の方を睨んでくる程に私を嫌っている。
楽しそうな兄弟と魔王の邪魔をしたくは無いので、部屋で魔王達の楽しそうな声を聞いている事にした。
(少し悲しくて寂しいけどいつもの事だ。それに、兄弟と好きな人には楽しくしていて貰いたいから我慢しないとな)

私は兄弟達の恋人の魔王を好いているのだ。
たとえ私がこの世で一番、、、魔王に嫌われていても。
私は魔王を愛している。
だが、魔王に好かれようとは思っていない。
魔王が幸せなら私が魔王にこの世で一番嫌われていても良いのだ。
私が少しだけ、悲しく、寂しいく、辛いだけなのだから。

「ハハハ、じゃあな。また来る」
「ああ、またな」

魔王達の話が終わったようだ。
(もう、この部屋を出ても大丈夫か?魔王は戻って来ないだろうな?、、、魔王の気配は家の外にあるな。なら、もう大丈夫だな。出よう)

“ガチャ”
「!、、、憤怒?何時からそこに?」
「昼間からずっと居た」
「、、、魔王が居たから出て来なかったのか?」
「、、、私は嫌われているからな。二人の邪魔をしたくなかったしな」
「チッ、あいつは、、、憤怒」
「なんだ?」
「これから一緒にお茶でもしないか?」
「ああ、良いぞ」
「じゃ、直ぐに行こう」
「分かった」

その後、私は怠惰とお茶をして過ごした。
兄弟達は魔王が私の事を嫌っているのを知っているので、私を慰める為にこうした事をよくしてくれる。
何もしていない私に対して魔王の態度は酷いと言って怒ってくれるのだ。

兄弟達は私が魔王を好いている事を知らない。
だが、知らなくて良いのだ。
末の私の事を殊更可愛がってくれている兄弟達が知れば魔王と別れるなんて言うかもしれないからだ。
私は兄弟達と魔王が別れる事を一切望んではいない。
兄弟達と魔王が幸せなら私の感情などどうでもいいのだ。


(私は兄弟達と魔王が笑ってくれる事が何よりも幸せなのだから。私の恋愛感情など本当はいらないモノなのだから。魔王は私を嫌っている。なのに私に好かれているなど、かなり嫌な事だろうからな)

どうか、私のこの感情を知らないでくれ。
どうか、幸せに笑っていてくれ。
どうか、私の好いたあなたのままでいてくれ。

私は貴方を、、、魔王、貴方を愛している。



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