冷厳な不動産王の契約激愛婚【極上四天王シリーズ】
とはいえ未熟な私は、先輩社員の計算のサポートは何度もしてきたものの、ひとりで任せられたことは一度もない。


「私ですか?」
「うちの部に、藤原という名の者がほかにいるのか?」


秋月さんは表情ひとつ変えずに言う。
こういうところが冷酷だ。

藤原はひとりだけれど、そんな言い方をしなくてもいいのに。


「藤原にはまだ早いかと」


私と同じように、秋月さんの指示に驚いている浜野さんが口を挟んだ。


「それじゃあ、いつになったらできるようになりますか?」
「それは……」


秋月さんの指摘に、浜野さんは黙り込む。


「誰でも初めてがある。藤原にはそれなりに経験を積ませてきたつもりだが」


秋月さんは〝できないとは言わせない〟とでも言いたげな表情で私を見つめる。

この部署は、会社の未来を左右する重要な責務を負わなければならないため、なかなか異動を希望する人がいない。

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