冷厳な不動産王の契約激愛婚【極上四天王シリーズ】
私をあざ笑うようにそう言い捨てた秋月さんは、自分のデスクに行ってしまった。

浜野さんは秋月さんのうしろ姿を見つめながらため息をつく。


「天才はこれだから」


そしてぼそっとつぶやいた。


天才は努力なしでも成功できる。
だからできない者の気持ちなんてわからない――と部署の人たちはよく話している。

ただ、秋月さんが作成した書類のファイリングを任されている私はそうは思わない。

秋月さんはたしかに天才だし成功者だけれど、その成功はしっかりした下調べやとんでもない量の計算の上に成り立っているものであり、天才ゆえのひらめきではないからだ。


「浜野さん、行き詰まったら教えてください」
「もちろん。頑張れよ」
「はい」


私は改めて浜野さんから書類を預かり、自分の席に戻った。


ひとつ案件を任されたからといって、進行中の仕事を放り出すことはできない。

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